私たちの健康な生活のためには必要不可欠な歯。
特に若いうちは、自分に歯があることを当たり前だと思いがちです。
しかし病気や事故など、ある日突然何らかの事情で歯を失ってしまう可能性は誰にでもあります。
もしも自分の大切な歯を失ってしまったら、どんな治療法を選びますか?
入れ歯、ブリッジ、インプラント……現在ではこの3種類の治療法があります。
どれも一様にメリットとデメリットが存在し、患者個人に合う治療法を選択する必要があります。
それぞれのメリットデメリット

まず入れ歯の場合、治療の条件がないため、持病がある人や歯にトラブルがある人でも受けられるメリットがあります。
だいたいの入れ歯の寿命は5年程度で、治療期間も1~2か月程度と比較的早く終わります。
保険も適用されるため、他の治療法よりも費用は安く抑えられることができることも入れ歯のメリットです。
しかし入れ歯は異物感が強く、食べ物を食べる時に違和感があったり、口を開いた時に金属部分が目立ってしまうデメリットもあります。
次にブリッジの場合、ブリッジを支えるための健康な歯が残っていることが治療の条件になります。
ブリッジの寿命は7年程度。治療期間は1か月ほどと早く終わります。
保険が適用されますが、前歯はプラスチック、奥歯は銀歯となってしまいます。
実費で治療費が高額にはなってしまいますが、セラミックにするという選択肢もあり、こちらの場合はブリッジの寿命も長い傾向があるようです。
入れ歯と比べると異物感はあまりなく、ものを噛む力も自分の歯とさほど変わりないようです。
しかし、ブリッジを支えるための健康な歯を削らなければならないというのが最大のデメリットとなってしまいます。
最後にインプラントの場合、糖尿病等の持病がなく歯周病などの口内トラブルがないことが治療条件になります。
インプラントの寿命は10年~20年とかなり長く、メンテナンス次第では半永久的に保つことができるようです。
見た目も自分の歯と違いが分からないほど審美性が高く、口の違和感もほとんどなく、自分の歯と同じ感覚でものを食べることができます。
しかしインプラントのデメリットは大きく二つあり、まず一つは治療期間が長いこと。
顎の骨を削ってインプラント装置を埋め込むという大掛かりな手術が必要なため、治療期間は経過観察の期間も含め1年~2年はかかる可能性があります。
そしてもう一つは保険が適用されないため、治療費が高額になってしまうこと。
インプラント1本の相場は30万~40万とかなり高く、治療する本数が多くなるほど費用がかさんでしまいます。
増えるインプラント、しかし……。

治療費が安く誰でも受けられるが使用時の違和感が強い入れ歯。
違和感は少ないが健康な歯を犠牲にしなければならないブリッジ。
自分の歯とほとんど変わらないが治療期間が長く治療費が高額になってしまうインプラント。
大まかにこれらを踏まえて自分に合った治療法を選択していきます。
昔からある治療法である入れ歯やブリッジは今でも主流ですが、治療後にデメリットを抱えやすい点があります。
それに比べるとインプラントのほうは、治療前と治療中のデメリットさえ受け入れれば、治療後は自分の歯とほとんど変わらない為、インプラントを選択する人の人口は徐々に増えてきています。
確かに、費用が高かったり治療期間が長いのは辛いですが、その後の人生の長さを考えると、できるだけ自分の歯と同じでありたいとは誰でも思うことだと思います。
しかしこのインプラント、どこの歯医者でも綺麗に治療してもらえるかと言われれば、そうでもありません。
インプラントは基本的に自由診療であり、歯医者によって提示する金額は様々。
安い治療費で患者を呼び込み、治療の出来は二の次……。このような歯医者は残念ながら存在しているようです。
インプラントを選んだ友人の話

私の友人は、バイク事故を起こした際に3本の前歯を失いました。
「このままだと見た目も気になるし、時間がかかってもいいからインプラントで綺麗な歯にしたい!」
そう思った友人はインプラントを希望しました。
交通事故の場合、怪我の具合等によっては保険が適用される事例もあるようですが、その条件はかなり厳しいもの。
友人はその条件から外れてしまい、自費診療になってしまいます。
3本の治療が必要なため、相場では治療費100万円は超えるところ。
どうにか安く済ませられないかと友人が探しだした歯医者が、1本10万円から治療可能というA歯科医院でした。
そこならば3本治療で30万程度で治療が終わります。
友人はその破格のA歯科医院で治療してもらうことになりました。
院内の内装は綺麗でスタッフも親切、歯科医師の丁寧な説明でA歯科医院の印象はとても良かったようです。
治療期間も、他の医院ではだいたい半年から一年ほどかかるところを、A歯科医院では4か月ほどで終わらせられるそう。
歯科医師の説明によると、最近のインプラントは進歩していて最新機器を使えば従来よりもスピーディーに義歯を作成することができるのだとか。
歯科医師の説明通り、友人の治療はとてもスムーズに進んでいきました。
インプラントの手術法には1回法と2回法というものがあり、名前通り1回の手術で終わるのが1回法。2回必要なものが2回法と呼ばれます。
友人が受けたのは手術期間がより短い1回法でした。
顎の骨にドリルで穴をあけ、土台部分と歯を装着する部分が一緒になったインプラント装置を埋め込みます。
インプラント装置が骨と結合するのに数か月。その後、人口歯を装着することで治療が完了となります。
たった数か月で3本の歯が綺麗なインプラントになり喜ぶ友人。
あとは手術後の痛みと腫れが引いていくのを待つだけ……のはずでした。
1か月2か月3か月……。
もうとっくに引いていてもいいはずの腫れが、一向に引かなかったのです。
インプラント手術後も、友人は経過観察のために数週間に一度の頻度でA歯科医院に通っていました。
しかし、そこで歯医者に言われるのは「もう少し経過を観ましょう。」とか「傷の治りの悪い場合もありますから心配なく。」という言葉ばかり。
歯科医師の言葉を信じて様子を見ていた友人でしたが、「それ他の医者に診てもらった方がいいよ。」という周囲の意見もあり、知り合いに紹介された別の歯医者に行って診てもらうことにしました。
するとなんと、骨に結合していなければならないはずのインプラント装置が通常よりも浅い位置にあったのです。
そのせいで歯の土台の部分がしっかり固定されておらず、摩擦で炎症を起こしていました。
そこの歯医者で告げられたのは、インプラント失敗の事実。
このような場合、大きな病院に行かないと綺麗に治せない場合もあります。
友人は、A歯科医院への不信感もあったことから、インプラントの再治療で有名な歯科医院を紹介してもらい、通常よりも高額で長い期間の通院を余儀なくされました。
安さよりも技術力!

インプラント自体は非常に優れた素晴らしいものです。
しかし、人気になるにつれて安さを売りにして患者を増やそうとし、技術が追い付いていない歯科医院が出てきてしまう問題もあります。
インプラントに費用や時間がかかるのは、それだけ技術力が必要で複雑な作業だからです。
利用者としては“安い 早い”という言葉に惑わされそうにはなりますが、自分の身体に一生残るものとして、技術力の高さで歯科医院を選ぶ必要があるでしょう。
kitsuneko22著