ホワイトニングの話し

人気のあるホームホワイトニング。注意を聞かずに歯ぐきトラブルになった話。

審美歯科について

歯医者さんに行くと、よく見かけるようになった「審美歯科」という文字。

昨今は健康目的はもちろんのこと、美容目的での歯科治療も増えてきています。

虫歯や歯周病の治療、物をちゃんと噛めるようにするなど機能的な改善を目指す一般歯科とは違い、歯の白さや歯並びなど、見た目の美に焦点を置いたのが審美歯科と呼ばれています。

審美歯科の内容には様々あります。

その代表的なものが、歯を内側から白くするホワイトニング、元の歯のような自然な仕上がりにするセラミック治療とインプラント治療。

中でも特に最近人気なのが、ホワイトニングです。

ホワイトニングとは?

歯が黄ばむ原因には2種類あります。

それは表面の汚れと、歯の内部の色が透けるものです。

ホワイトニングとは、歯の表面ではなく内部の漂白を目指した治療です。

人間の歯は3層に別れていて、一番表面がエナメル質、その内側に象牙質、そして神経と繋がっています。

この3層のうち、象牙質は真っ白ではなく少し黄色をしています。

日本人は表面のエナメル質が薄い傾向にあり、内部の象牙質の色が透けやすくなってしまうのです。

また、年齢を重ねるとエナメル質は削れて薄くなっていき、それと同時に象牙質は厚みを増していくため、放っておくとどんどん黄ばみが強くなっていってしまいます。

日本人は表面のエナメル質が薄い傾向にあり、内部の象牙質の色が透けやすくなってしまうのです。

また、年齢を重ねるとエナメル質は削れて薄くなっていき、それと同時に象牙質は厚みを増していくため、放っておくとどんどん黄ばみが強くなっていってしまいます。

 

ホワイトニングの方法には3種類あります。

1つは歯医者さんに通って行う、オフィスホワイトニングです。

専用のホワイトニング剤(過酸化水素製剤)と光照射によって、1回の治療で歯を白くできます。

短時間で白くできるぶん、歯に負担がかかってしまうのと、元の色に戻りやすいという欠点があります。

次に自宅でできるホームホワイトニングです。

自分に合ったマウスピースを作成し、専用の薬剤(過酸化尿素製剤)を塗布した状態で1~2時間ほど装着します。

これを1か月ほど好きな時間に行うことで、徐々に白い歯になっていくのです。

長い時間はかかりますが、自分のペースで行える点と、元の色に戻りにくく安定した白さを保てる点があります。

最後に上記2つを併用して行う、デュアルホワイトニングです。

2つの長所を生かすことによって短時間で持続的な白さを手に入れられ非常に魅力的ですが、その分治療代も高くなってしまいます。

 

ホワイトニングによく似たものに、クリーニングという治療があります。

これは歯の内部の漂白が目的のホワイトニングと違い、歯の表面についた歯石や着色汚れを取り除く治療です。

クリーニングは歯石などを除去することにより虫歯や歯周病を防ぐ役割もあり、一部は保険も適用しますが、ホワイトニングの場合は保険適用外です。

歯石や歯の表面の汚れはホワイトニングの治療の妨げになってしまうため、クリーニングが同時に行われることが多いです。

このクリーニングだけでも十分本来の白さに近づけるので、ホワイトニングは高くてなかなか手を付けられないという人にもオススメです。

注意を守らないとどうなる?

オフィスホワイトニングとホームホワイトニングでは違う薬剤を使いますが、どちらも医師の指導の下でしか扱えない薬剤です。

そのため使用には細心の注意を払わなければならず、特に家で使用するホームホワイトニングのほうは、医師から使い方や注意点などをしっかりと説明されます。

使い方や注意点を守らなかった場合、歯のトラブルに見舞われてしまう可能性もあります。

 

普段からタバコやコーヒーの摂取が日課だったAさん。

長年蓄積された歯の着色汚れで黄ばみが目立ってきたのを理由に、歯医者さんでホワイトニングを受けることにしました。

できれば家で好きな時間にできる方がいいと、Aさんはホームホワイトニングを選択します。

ホームホワイトニングの場合、マウスピースから薬剤がはみ出ないよう少量を塗布し、決められた時間内に終える必要があります。

そして薬剤使用後はしばらくは食べたり飲んだりはせず、もちろんタバコも控えなければなりません。

しかしAさんは、この歯医者さんの注意を守らなかったのです。

ホームホワイトニングはオフィスホワイトニングと違い、歯の白さを実感できるまでには時間がかかってしまいます。

通常2週間から1か月の間、1日2時間ほど薬剤を塗布したマウスピースを装着していなければなりません。

マウスピースを作成し、最初の1週間ほどはしっかりと医師の注意通りに使用していたAさんでしたが、あまり白くなっている実感が湧きませんでした。

Aさんは少し短気な性格で、すぐに結果が出ないとイライラしてしまうタイプ。

「ちょっと薬剤を多めに塗ったらすぐに効果も出るだろう!」

とAさんは考え、医師に言われていた量よりも多く薬剤を塗布するようになりました。

もちろんそんなことをすると、マウスピースの端から薬剤がはみ出てしまいます。

この薬剤は歯ぐきについてしまうとしみたりズキズキ傷んでしまうので、歯ぐきにつかないようにしないといけないと歯医者さんから注意点として教えられます。

しかし少しぐらいなら平気だと、Aさんは歯ぐきに薬剤がついたままホームホワイトニングを続けてしまいました。

しばらくは何も問題のなかったAさんでしたが、数日すると歯ぐきがものすごくしみるようになってしまいました。

すぐに歯医者さんに相談しに行ったAさん。

すると、Aさんの歯ぐきは炎症を起こして少し下がり、象牙質がむき出しになってしまっていたのです。また、少し触れただけで出血する場所もあることが分かりました。

ホームホワイトニングで使われる薬剤(過酸化尿素製剤)は、エナメル質の構造を変化させ曇りガラスのような状態にする作用があります。

エナメル質は水晶と同じくらい硬く丈夫な組織です。

そんなエナメル質を変化させるほどの薬剤なので、歯ぐきに長時間触れてしまうと火傷のようにただれてしまうこともあります。

Aさんは歯医者さんの注意を守らなかったばっかりに、歯ぐきが下がって知覚過敏を伴うようになってしまったのです。

こうなるとホワイトニングは一時中断し、歯ぐきが下がり露出した象牙質を塞ぐ薬剤による治療をしなければなりません。

そしてこの治療の後もホームホワイトニングを選択することは出来ません。

どうしてもホワイトニングをするならば、すぐに歯医者さんが対処できるオフィスホワイトニングしか選択肢はありません。

中途半端にホワイトニング治療が終わるのが嫌だったAさんはオフィスホワイトニングを選択しましたが、結果予想よりも高い治療費がかかってしまうことになってしまったのです。

Aさんのように結果が早く出ないと嫌なタイプの人は、最初からすぐに結果の出るオフィスホワイトニングを選んでいた方がよかったのかもしれません。

注意はしっかり守ろう!

歯医者さんで使われる薬剤は専門医の指導の下でしか扱うことができず、ホワイトニングをする場合は歯医者さんの注意をしっかり守らなければなりません。

少しくらい守らなくても大丈夫、と甘く見ていると取り返しのつかないことにもなります。

指導通りに使用すれば、大きな問題が起こることもめったにありません。

せっかく歯を白く綺麗にするのなら、歯医者さんの注意はよく聞いて後悔のないようにしたいものです。

kitsuneko22著