歯医者さんの選び方

歯医者さんの「怖い言葉」—信頼関係の大切さ


20代の頃、私はある歯科医院に通っていました。そこでのとても印象的な歯科医の言葉を、今でも鮮明に覚えています。それが治療中だったのか、何の話題から始まったのかは覚えていませんが、歯科医の先生から一つ注意を受けたのです。

「このままだと、30歳を超えたら歯がごっそり抜けてしまうで。」

30歳ですよ。そんな怖い言葉を聞かされた私は、思わず背筋が寒くなりました。想像するだけでも不安になります。20代の私にとって30代は既におばちゃんの域と感じていました。しかし、歯が全部抜けてしまっては、おばあちゃん域じゃないですか。「いやいや、待って、それ、ちょっと怖いんですけど。」と心の中でつぶやいていました。実際にそんな人は見たことない、でもその特別なことが私の身の上に起きる可能性があるのです。精神的にもかなり打撃のある言葉でした。


歯の健康に関する不安

その後も先生の言葉が気になりつつ、私は30歳になりました。幸いなことに、歯は抜けることもなく無事でした。ぐらつきも無く元気そのもの。毎日の歯磨き以外に何かをしているわけでもありません。20代の時に、あの先生がなぜ「30歳になったら歯が全部抜けてしまう」と言ったのかは分かりません。何か考えがあったと思われますが、なぜ歯が抜けてしまうのか、その説明がなかったことに今でも不信感を感じています。


似たような経験、再び

数年後、別の歯医者に通うことになったとき、またしても同じようなことを言われました。

「このままやと、〇〇歳を超えたら歯がごっそり抜けるで。」

以前と全く同じ言葉を聞いた私は、「それは困りますね。」とその場では笑って済ませました。やはりそこでも、なぜ歯がごっそりと抜けてしまうのかの説明はありません。今思うと、聞けばよかったですね。冗談でいってるのかもしれませんが、それなら私は冗談を真に受けて深堀りする嫌な患者さんです。しかし、人の気持ちを不安にさせる言葉を簡単に発する医師には不信感しかありません。結局、50歳を過ぎた現在、ブリッジにした箇所が1つあるだけで、他には特に問題はありません。


歯医者さんの言葉の意図

振り返ってみると、なぜ歯医者さんたちがあのような言葉を口にしたのか、その意図を考えさせられます。不安をあおる言葉で患者に注意したり、健康を保つための行動を促す意があったのかもしれません。しかし、あまりに過剰な言葉は脅し文句になり、逆に信頼を損ねることもあります。1つ原因として気になることがあります。もしかすると親知らずの抜歯のタイミングだった可能性があるのです。
「このままだと、ごっそり歯が抜けるで」のあとの会話として
「それは困ります、どうすればいいですか」という言葉を待っていたのではないでしょうか。歯の矯正や差し歯などをこちらが求めれば歯医者も売上になりますし。
今の年齢ならインプラントをこちらが求めれば、さらにお金になります。入れ歯やブリッジなどもランクがあるので上を求めれば、売上も変わります。
こんな想像をさせるほど、言葉選びとしては適切でなかったと思います。


現在の通い先

今、私が通っている歯医者さんでは、そのような怖い言葉を聞くことはありません。治療は丁寧で、説明も分かりやすく、信頼関係を築くことができています。歯医者さんの印象も昔とは違い、現在はどこもクリアーな雰囲気があるのではないでしょうか?
もし今、「ごっそり歯が抜ける」と言われたら、「なんでごっそり抜けてしまうんでしょうね」と質問することができます。それだけ私が厚かましく強くなったこともありますが、医師との信頼関係があるのです。そして、説明するための資料も豊富に用意されていることを知っています。現在の歯の状態を説明したり、現在の治療がどの段階かなどをいつも資料を見せながら説明してもらっているので質問しやすいのです。昔通っていた歯医者さんよりとてもよくわかります。医師の言葉が一方通行になることはないのです。

以前のところがヤブだというのではありません。
昔、言われた言葉が強烈に印象に残っているため、あえて今回はそのエピソードを書いてみました。


終わりに

歯の健康を守るためには、定期的な検診と適切なケアが欠かせません。しかし、過度な言葉での表現は逆効果になることもあります。歯医者さんとの信頼関係を築くためには、患者に対する丁寧な説明と、安心感を与えるコミュニケーションが大切だと感じます。皆さんも、自分に合った信頼できる歯医者さんを見つけて、歯の健康を守ってくださいね。